底つき
妻が実家に帰ってから一人の生活が始まりました。
ギャンブル対策のため出ていく際に通帳やカード、を持っていき、500円玉6枚のみ置いていきました。
一日に使った額をレシートと残りの金額を写真で送って報告していました。
自分にとっての底つきはこのときでした。
これまでの後悔、情けなさに押しつぶされそうになりながら毎日を過ごしていました。
妻に言われた子どもにとっての父親はあなた一人だからしっかりしての言葉に子どものためにもしっかりしなければという気持ちで過ごしてきました。
妻は精神的に不安定でしたが、僕のためにいろいろと調べてくれていました。
知り合いのつてをたどり債務整理のための弁護士やギャンブル依存症の施設などを調べてくれました。
妻からは施設に一刻も早く入るよう言われていました。
僕はどうしても施設は受け入れることはできませんでした。
仕事を長期で休まなければならない、職場にギャンブルのことが知れ渡ってしまう、元のポジションで戻ることができないなどの理由でしたが、妻からしたらこんなことをしておいて何も失いたくはないは納得できなかったと思います。
ですが、仕事まで失えば今後どうすることもできなくなるという思いからどうしても施設の入所はできませんでした。
施設の人とも電話で話をしました。
重症のギャンブル依存症だから本来なら即施設に入って治療しなければならないと言われました。
そのような状態から回復が始まりました。
病院の受診
まずはギャンブル依存症専門の病院に行くことになりました。
ですがギャンブル依存症のクリニックに電話をしても予約がとれるのは、1ヶ月以上先と言われました。
正直1ヶ月も待てる余裕はありませんでした。
大きな病院は紹介状がなければ受診ができない状態でした。
ここでお世話になっていた恩師に相談しました。恩師は医師であったため
「その病院への紹介状を私が書くから、受診してきなさい」と言ってくださり、精神科を受診することができました。
恩師には非常に助けてもらいました。
病院では、ギャンブル依存症と診断され、病院で行われているプログラムに参加することになりました。
GAとの出会い
病院へのプログラムと並行してギャンブラーズ・アノニマス(GA)に参加することになりました。
GAというのは、ギャンブル依存症の当事者が集まり、ミーティングをすることでギャンブル依存症からの回復を目指す自助グループです。
幸い家から30分ほどの距離で開催されていたため、行くことにしました。
ですが行く前の印象は宗教か?とかこんなミーティングで回復できるのか等恐怖でいっぱいでした、、、笑
まあでも宗教でもなんでも回復できるならそれでいいし、自分には悩んでいる暇はなかったので参加しました。
もし騙されても払うお金なんてなかったですし。
初めて行ったときは衝撃を受けたのを覚えています。
ミーティングの中で行われる参加者の経験を語る分かち合いでは自分がしてきたことの似たようなことを他の参加者もしていました。
参加するまでは自分がだめやからこんなになるまでやめられないんだ。
自分ほど最低な人はいないだろうと思っていましたが、同じような経験を持つ方ばかりでした。
同じ経験をもつ仲間が、何年もギャンブルをやめられているという事実に驚き、また一筋の光が見えた気がしました。
自分もやめていけるのではないか、人生やり直せるんじゃないかと前を向く大きなきっかけとなる一日でした。
僕が思うGAの魅力は、一人で抱え込まずに済み、同じような経験をした仲間が回復していることで自分の道しるべや希望になることかなと思っています。